入居費用は、家賃の概ね4~5倍ほどかかると言われています。
しかし残念なことに、入居費用についての大幅な削減は基本的には難しいです。
この記事では、賃貸契約を行うときの登場人物とお金の流れを解説していきます。
入居費用の流れ
以下は賃貸契約を行う際の登場人物とお金の流れを大まかに図解したものです。
なお、①~③はお金の流れ毎に分別した番号で、後述の「入居費用の内訳」の項目の番号にも相当します。
- ①入居者から得る管理会社の収益
- ②入居者から得る仲介業者の収益
- ③管理会社から得る仲介業者の収益
入居費用の内訳
家賃の概ね4~5倍ほどかかると言われる入居費用の内訳は概ね以下の通りです。
では、各項目が入居費用削減につながるかどうかと注意点を解説します。
敷金
ペットを飼う場合は、2〜3ヶ月程度が相場になります。
関西では、保証金と呼ばれこともあります。
敷金は、一般的には退去時の原状回復費用等に充てられ、差分があった場合は返金されます。
しかし、敷金が「償却」や「敷引」となっていた場合、差分があっても返金はされません。
また敷金において、最も注意すべき点は「契約時償却」「契約時敷引」となっていた場合です。
本来は退去時に行われる「償却」や「敷引」が入居と同時に行われます。
つまり礼金と同義の費用となり、退去時に別途原状回復費用が発生します。
なお、敷金は「契約時償却」「契約時敷引」を除き、退去時に必要な費用の前払いのようなもので、無駄金ではありません。
なので、物件探しの際に「敷金0」で探すのはオススメしません。
礼金
礼金は、不動産業界の古き慣習で、部屋の提供に対しての謝礼金です。
基本的には交渉ができない項目にはなります。
前家賃
賃貸物件の場合、基本的に家賃は前払いになります。
なので、入居のタイミングでも家賃の支払いが必要となります。
しかし、入居のタイミングによっては、当月分の家賃のみで対応できる場合もあります。
もし入居費用を抑えたい場合は、入居のタイミングによって翌月の家賃の支払いが必要かどうかを確認してください。
火災・家財保険料
火災・家財保険料は、基本的には加入必須であるため、0円にはできない項目です。
しかし、もし自身で選んだ保険に加入できるということであれば、安く加入することも可能です。
入居費用を抑えるために、自身で選んだ保険に加入できるか相談をしてみましょう。
次に、この項目が (②) になっている理由を解説します。
入居者が支払った保険料が、そのまま仲介業者の収入源になるわけではありません。
ではなぜ仲介業者の収益源になるのかというと、提携している保険会社に加入させることで、保険会社からいわゆる紹介料を得ることができるからです。
しかし、必ずしも紹介料を得ているわけではありません。
仲介業者ではなく管理会社が提携している保険に加入した場合、紹介料を仲介業者に支払うかどうかは管理会社次第だからです。
保証会社利用料
家賃の保証といえば、昔は連帯保証人を付けるというのが一般的でしたが、今は代わりに保証会社の加入が必須であることが多いです。
連帯保証人+保証会社というパターンもたまにありますが、保証会社ではなく連帯保証人のみで審査が通れば、入居費用の削減は可能です。
保証会社はたくさん種類があり、保証料の支払いが一括型もあれば、月額型もあります。
なので保証会社ありで入居費用を抑えたいということであれば、一括型の保証会社ではなく、月額型の保証会社を利用できないか相談することも可能です。
また、この項目が(②)になっている理由は、火災・家財保険料と同様です。
仲介手数料
仲介手数料は、仲介業者が唯一金額を決めることのできる費用です。
なので、基本的には「入居費用が安くなる」=「仲介手数料が安くなる」という形になります。
鍵交換費用
鍵交換は任意の場合もあり、交換をしなければ入居費用を削減できます。
なお、鍵交換をしたからといって、必ずしも安全とは言えません。
シリンダーの使い回し、つまり何回か前の入居者と同じ鍵になる交換方法をしている場合があるからです。
クリーニング費用
クリーニング費用は、退去時請求の場合もあります。
なので、クリーニング費用を退去時請求にすることができれば、入居費用を削減できます。
なお、注意すべきポイントとして、「入居時」及び「退去時」の二重での請求をしてくる場合もありますので、必ず確認をしましょう。
抗菌・消毒費用
この項目は他の項目に比べ、実態が不透明な項目です。
ではなぜこのような項目があるのかというと、管理会社が収益を上げるためです。
つまり、入居者にとっては一番不要な項目になります。
この項目が(③)になっている理由は、管理会社がこの項目を設定していた場合、当該費用を原資として紹介料を設定している場合があるからです。
サポートサービス加入料
この項目は加入必須の場合が多いです。
この項目が(③)になっている理由は、抗菌・消毒費用と同様ですが、必ずしも収益を増やすためだけに設定されている項目ではないからです。
管理会社として、入居者対応のコストを減らすために加入必須にしている場合があるのです。
紹介料
紹介料とは、入居者が支払う「入居費用の内訳」にはない項目で、 不動産業界での紹介料は、「広告料」「AD」等と呼ばれています。
仲介業者にとって仲介手数料とこの紹介料が、仲介業務における2大収益源となります。
しかし、紹介料は全ての物件に設定されている訳ではありません。
また収益源の一つであるである仲介手数料は、家賃の1ヶ月までと法律で決められていいます。
なので仲介業者は収益を伸ばすために、紹介料がない物件よりも紹介料がある物件を提案する傾向にあります。
つまり、仲介業者にとって紹介料のある物件は、収益が得やすい「良い物件」なのです。
紹介料がある物件の特徴
では、入居者にとって紹介料がある物件は「悪い物件」なのでしょうか?
結論、どちらとも言えません。
紹介料が付く物件は、不人気物件である場合もありますが、必ずしもそうとは限りません。
また、紹介料がある物件であれば、仲介手数料が安くなる可能性も高くなります。
全ての物件に当てはまるわけではないですが、紹介料が付く物件の特徴は以下の通りです。
- 不人気物件
- 投資用物件
- 礼金が2ヶ月以上の物件
- 入居費用の内訳に「(③)」がある物件
不人気物件
空室リスクを解消するために、紹介料を付けているパターンです。
全ての不人気物件が、悪い物件というわけではありません。
エリアによっては過剰供給により競合物件が増え、相対的に不人気になってしまった物件もたくさんあります。
入居者にとっては何かを妥協することで、入居費用が安くなりうる物件です。
ただし入居者からは、不人気物件かどうかの判断はつきません。
投資用物件
入居者に対してではなく、売り手と買い手の付加価値を高めるために、紹介料を付けているパターンです。
買い手からすると、空室ありの物件と空室なしの物件では、利回りに大きく影響します。
売り手としては、紹介料を払ってでも空室を解消した状態で売ることができれば、より高く売ることができるからです。
結果、入居者にとってもメリットになりうる物件です。
ただしこちらも、入居者からは投資用物件かどうかの判断はつきません。
礼金が2ヶ月以上の物件
礼金が2ヶ月以上の物件は、礼金が2ヶ月以上でも支払いをしてくれる人を対象としているので、高級物件に多い傾向があります。
礼金が2ヶ月だった場合は管理会社と仲介業者で折半でする場合が多いので、紹介料が出ているかどうかの一つの指標となります。
ただし礼金が2ヶ月以上の物件の入居費用が安くなる場合は、自身で支払った礼金が原資になっていることもあるので、必ずしもお得ではないので注意が必要です。
入居費用の内訳に「(③)」がある物件
紹介料がある場合、仲介業者に物件を提案してもらいやすので、(③)の費用を原資として紹介料が設定されている場合があります。
なので(③)がある場合は、(③)の免除と仲介手数料の値引きを交渉すれば、どちらかが成功する可能性は高くなります。
(③)の費用があるかどうかは、紹介料があるかどうかの一つの指標となります。
最後に
物件探しは、心身ともに疲れるイベントです。
しかし、大きなお金が動くイベントですので、交渉ポイントを見極めて、入居費用を削減しましょう。