ひと昔前は携帯電話のプランが2年ごとの自動更新で、端末代金の割引も大きかったため、2年ごとの買い替えも一般的でした。
しかし、現在は端末代金が高くなっただけではなく、2019年の電気通信事業法の改正に伴い「完全分離プラン」に移行したため、端末代金の値段が顕著となりました。
端末代金の価格推移
2015年9月に発売されたiPhone 6s(最小容量)の値段は57,024円
2021年9月に発売されたiPhone 13(最小容量)の値段は98,800円
約1.7倍になっています。
完全分離プラン
従来の携帯電話の料金は、以下のような構成でした。
それが2019年の法改正に伴い、以下のような構成となりました。
値引きについて、法改正の前にも後にもありますが、①~③では値引きの方法が異なります。
値引き①は、特定の端末を購入することで、通信プランの料金が値引きされる仕組みでした。
法改正により、端末購入の有無によって通信料金に差が出ることが禁止となったため、法改正前の値引き①に該当する値引き②の仕組みができなくなりました。
ただし、端末購入の有無に関わらない値引き、例えば固定回線とのセット割等は禁止となっていません。
値引き③については、条件によって禁止・制限された仕組みです。
値引きやキャッシュバック等の顧客への還元について、契約期間の縛りを付けた還元が禁止され、契約期間の縛りを付けない還元は2万円(税別)までとなりました。
ただし、契約期間の縛りを付けない還元(最大2万円(税別))については例外がありますが、この記事では割愛します。
そして、この法改正に触発しないように設定されたのが、現在の「買替サポート」になります。
買替サポートプログラム
買替サポートプログラムとは簡単に言うと、当該プログラムに加入して購入した端末を、一定の期間が経過した後に返却することで、端末代金の最大50%が免除される仕組みです。
買替サポートプログラムは法改正以前からあり、以下は大まかな条件ですが以下のように変更されました。
- 指定の回数での割賦契約
- 端末返却
- 回線契約者のみ
- 同キャリアでの端末再購入
- プログラム利用料
- (同)指定の回数での割賦契約
- (同)端末返却
- 回線契約者・非回線契約者
- 端末再購入不要
- プログラム利用料不要
※キャリアによって条件の差はあります。
つまり、現在は指定の回数での割賦契約と端末の返却のみでプログラムに加入することができます。
iPhone13の値段や買替サポートの有無についてはこちらでまとめています。
また、買替サポートプログラムには大きく分けて2種類の免除方法があります。
一つ目は、docomo・au・ビックカメラで設定されている「残価設定ローン(残価設定型クレジット)」になります。
残価設定ローンは、返却時のiPhoneの買取価格を事前に設定して返却時にその金額分を免除、もしくは返却しない場合は残価を再度分割をする方法です。
iPhone13において、docomo・auでの残価設定は45%前後で、ビックカメラは35%前後となります。
なお、現時点でのビックカメラでの買替サポートはAppleCareの加入が必要なため、AppleCareを含めた総額から考えると28%前後となります。
二つ目は、SoftBank・楽天モバイルで設定されているもので、これは単純に48回分割をして、返却時に残債を最大24回分まで免除する方法です。
つまり、買替サポートプログラムに加入する場合、SoftBankか楽天モバイルであれば最大50%の免除を受けることができるので、残価設定ローンよりも優位と言えます。
ただし、注意点もあります。
SoftBankの場合、iPhone13の端末代金をSIMフリー版と比較すると約15%高い価格設定となっています。
楽天モバイルの場合、iPhone13の端末代金はSIMフリー版と同等ですが、機種変更を伴わない返却の場合は手数料が3,000円(税別)が必要となります。
また、買替サポートプログラム全般の注意点としては以下の3つです。
- SIMロックが解除の手続きが必要な場合もある(最新の端末はSIMロック解除がされている場合もある)
- 返却時に故障等があった場合、約2万円の費用が掛かる
- 故障等の程度によっては、プログラムを受けることができない
iPhoneのリセールバリュー
iPhoneは、リセールバリューが高い商品と言われています。
リセールバリューとは、簡単に言うと買取や下取り価格のことです。
なので、iPhoneを買取や下取りに出すことで支出を抑えることができます。
買取はモノ売ることで現金を得ること、下取りはモノを売ることで購入資金に充当することです。
iPhoneのリセールバリューについて、販売開始後の経過年数ごとに独自に集計したところ、以下のような結果となりました。
この買取率を元に以下の条件を定め、経過年数別の実質総額と1年当りの実質価格を算出しました。
商品価格=15万円の場合
新端末の購入時に旧端末を売却(返却)
実質価格=新端末の購入金額 – (旧端末の商品価格 × 買取率)
買取率 | 実質価格 | 12年間の 実質総額 | 1年当りの 実質価格 |
||||||||||||
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 6年目 | 7年目 | 8年目 | 9年目 | 10年目 | 11年目 | 12年目 | ||||
1年ごと | 50% | ¥150,000 | ¥75,000 | ¥75,000 | ¥75,000 | ¥75,000 | ¥75,000 | ¥75,000 | ¥75,000 | ¥75,000 | ¥75,000 | ¥75,000 | ¥75,000 | ¥975,000 | ¥81,250 |
2年ごと | 40% | ¥150,000 | ¥0 | ¥90,000 | ¥0 | ¥90,000 | ¥0 | ¥90,000 | ¥0 | ¥90,000 | ¥0 | ¥90,000 | ¥0 | ¥600,000 | ¥50,000 |
2年ごと(購入サポート) | 50% | ¥150,000 | ¥0 | ¥75,000 | ¥0 | ¥75,000 | ¥0 | ¥75,000 | ¥0 | ¥75,000 | ¥0 | ¥75,000 | ¥0 | ¥525,000 | ¥43,750 |
3年ごと | 30% | ¥150,000 | ¥0 | ¥0 | ¥105,000 | ¥0 | ¥0 | ¥105,000 | ¥0 | ¥0 | ¥105,000 | ¥0 | ¥0 | ¥465,000 | ¥38,750 |
4年ごと | 20% | ¥150,000 | ¥0 | ¥0 | ¥0 | ¥120,000 | ¥0 | ¥0 | ¥0 | ¥120,000 | ¥0 | ¥0 | ¥0 | ¥390,000 | ¥32,500 |
以上のように、長く使えば使うほどお得になるのは間違いありません。
しかし、長く使えば使うほど問題も出てきます。
長期使用での問題点
- 最新OSのサポート対象外
- 本体の容量不足
- バッテリーの消耗
最新OSサポート対象外
iPhoneの場合、Androidに比べてOSのサポート期間が長いと言われています。
目安として、Androidであれば発売から3年程度、iPhoneの場合は5年はサポート対象であることが多いです。
OSのサポート期間が終了しても端末の使用自体はできます。
しかし、OS自体の不具合解消だけではなくアプリの不具合解消もされなくなってしまいます。
本体の容量不足
最新の機種では写真や動画の画質が向上しているため、容量の使用量も増えてしまいます。
Androidの場合はSDカードでの容量拡張が可能ですが、iPhoneの場合はこのような拡張ができません。
バッテリーの消耗
iPhoneは、フル充電を500回繰り返しても本来の蓄電容量の最大80%を維持するよう設計されており、使い方にもよりますが3年は問題なく使えるようです。
実際、私はiPhoneXRを3年使いましたが、バッテリーに対する問題ありませんでした。
最後に
前提として 、長く使えば使うほどお得になるのは間違いありません。
また、最新機種ではなく型落ちの機種でサイクルを回すことで支出を減らすこともできます。
自身の優先順位を決め、お得に買い替えていきましょう。